こんにちは。
院長の生野です。

9月の投稿の続きになりますが
ずっと口の中に入ったままの拡大装置
＜固定式拡大装置＞のご説明です。

当院で使用している固定式の拡大装置は２つあるのですが

ひとつが「クワドヘリックス」

今回はもう一つの装置「急速拡大装置」のご説明です。
上あごの幅を6mm以上、「急速に」拡大したい時に使用しております。

「急速」というのがどの程度かというと
6mmはわずか15日間で拡大します。

正中口蓋縫合という右側の上あごと左側の上あごの継ぎ目を
開いてしまうという治療です。

継ぎ目の部分に新しく骨が出来上がるまで
装置をそのままにして３~６カ月待ちます。

実際の症例ですが

１症例目　８才

上顎前歯の歯のサイズが大きいので
急速拡大装置を使用

レントゲン写真から
永久歯の犬歯の萌出方向も少し良くない傾向が認められました

2018年11月、装置セット

2週間後、6.0mm拡大

6か月後、装置撤去（写真はさらに3カ月後のもの）
拡大後すぐは下顎とのバランスが崩れるので
噛み合わせが悪くなりますが
この症例では下顎をリンガルアーチという装置で
拡大して幅を調整しています。

現在はこのまま側方歯の交換を待っています。

２症例目　８才

上あごが狭く、側切歯（２番目の歯）の萌出スペースがないため
急速拡大装置を使用

2019年2月、装置セット

2週間後、6.0mm拡大
正中口蓋縫合が離開するため
前歯の真ん中に空隙が一時的にできる場合が多いです。
時間の経過とともに自然に閉じます。

3カ月後、装置撤去

左側の2番目の永久歯は
なんとかいいところに萌出しました。

３症例目　７才

上あごが狭く、下顎とのバランスが悪いので
急速拡大装置を使用
すべての上の歯が下の歯の内側にあります
（フルクロスバイトと言います）

2019年3月装置セット

3週間後、8.0mm拡大
こうなると保護者の方に心配されます
「本当に大丈夫ですか？」と…
こちらもちょっとはドキドキしますが
大丈夫です！

拡大終了から1カ月後に
ここまで自然に前歯が寄ってきました。
リンガルアーチに装置は変更
（後戻り防止、保隙および前歯の前方移動のため）

2020年1月（拡大終了から９カ月後）
もうすっかり前歯の隙間は閉じてきました（自然に）。
何度見ても「人間の体はすごいな」と感心してしまいます。
リンガルアーチ作り替えのため撤去時の写真

３症例目は
レアなケースですが
こういう時に急速拡大装置が威力を発揮します。
少し見た目も「イカツイ」ので患者さんにも敬遠されがちですが
これを使うメリットが多い場合に当院では使用します。

「必要な拡大量が6.0mm以上の場合」
「２番目の歯がすぐに萌出するので拡大を急ぐ場合」
「上顎の幅が下顎の幅より極端に狭い場合」

が適応と考えておりますが

正中口蓋縫合を拡げると鼻の下の骨も拡がる＝鼻腔も拡がる
と考えられますので
鼻咽腔疾患の既往があるお子さんにもおすすめする場合があります。

急速拡大装置、
痛くないんですか？？
とよく聞かれます。

正中口蓋縫合ですが
18才くらいまでにガッチリ固まって
拡大が不可能になるので
大人である私は体験できません。

なので、
実際に装置を使用した
患者さん（小学生）の体験談からの情報です。

さすがに少し痛いのですが
拡大しはじめの２、３日だけ痛い、とのことです。
それ以降はあまり痛くない、とのことです。

小学生はすごいな、とこれもいつも感じます。
保護者の方が心配している場合がほとんどです。
意外と大丈夫、笑

では、これで急速拡大装置の装置の説明を終わらせていただきます。

コロナウイルス陽性者が札幌市、増えていますね。
「手洗い」にご協力お願い致します。

どのくらい効果あるのか未知数ですが
念の為「Air dog」という空気清浄機を導入予定です。
「世界最強レベルの空気清浄機」という宣伝文句がちょっと怪しい、笑
来週には届く予定です。

この冬はインフルエンザウイルスも含めウイルスに負けないよう
日々体調管理に気をつけましょう！

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