「ネジ」のお話、最終話の予定です。
「歯科矯正用アンカースクリュー」について患者さんにお話するとき、
意外と多い質問が
「これっていつまで歯茎に刺さったままなんですか??」
「抜けるんですか?」
です。
>大丈夫です。
>治療に必要なくなった時点で抜きます。
>そして抜く時は、麻酔も必要ありません。痛くないですから。
「刺さっていた穴は??」
>数ヶ月で何もなかったように回復しますのでご安心下さい。
みなさん歯茎に埋入する「ネジ」ということで
失った歯の代わりに埋め込む「インプラント」のイメージが
大きいのかな、と思います。
「インプラント」は
絶対に抜けてはいけないので
骨とくっつきます。
なので抜くとなると非常に大変です。
一方で、
「歯科矯正用アンカースクリュー」は
治療が終わったら外すこと前提の一時的なものなので
骨とくっつきません。
ネジネジの抵抗力で骨にとどまっているだけです。
だから抜こうと思えば簡単に抜けます。
比べてみると、すごく貧弱そうですよね?
安心していただけましたか?
「簡単に抜ける」ということは
裏を返せば
「ちょっと抜けやすい」というデメリットにもなりかねます。
成功率(歯科矯正用アンカースクリューが脱落しないでしっかり歯茎に植立される確率)は
80% ~ 90% ほどと言われています。
脱落率は 10% ~ 20% ということですね。
これってどれくらいの確率か。
じゃんけんで2回連続勝つのと同じくらいです(あいこもなしで)。
あまりなさそうだけど、意外とあるかも!
って感じですか???
一般的に骨が柔らかい(骨密度が低い)人ほど
成功率が低くなります。
なので
14歳以下 < 15歳以上
女性 < 男性
咬む力の弱い人(顎が細長い人)< 咬む力の強い人(顎がしっかりしている人)
といった感じです。
14歳以下の
女性で
顎がほっそりしている場合は
この方法が適応にならないこともあるということです。
こんな疑問も浮かんできそうですね。
「成功しなかった場合はどうするのですか?」
>まずは別の場所に植立し直します。
>たいていこれでなんとかなります。
>何度も脱落するようなら他の方法を考えます。
とお答えしています。
そうならないように、最善の努力はするのですが。
前回の記事の最後で
「ネジ」を安全に、確実に植立するためには
ネジを回転させる「強さ」が非常に重要なんです。
と書きました。
なんで重要かというと、
あまりに弱い力でネジが入るようだと、
骨が柔らかいので、「脱落しやすい」。
あまり強い力でネジを入れると、
過度に周りの骨を破壊してしまい、「脱落しやすい」。
といった理由があります。
一番まずいのが、強い力に耐えられず、ネジが折れてしまうことです。
なので、当院では成功率を上げるため
これを使っています。
術者としても、
軽い力でこの道具を支えているだけで
「ネジ」が勝手に埋入されていくので楽チンなんです。
患者さんにも、ドクターにもお得なこの道具、最高ですね!
札幌 桑園 矯正歯科egao 笑顔